おかえりなさい。わたしは彼の内腿へキックを放つ/鈴木妙
 

 ほとほと困惑したような表情でわたしを見下ろす。さっきの集中はどこへやら。
 ほら、もう佐伯さんが金魚鉢を持ち上げていますよ。
 側頭部を打たれた朝倉さんは力なく倒れてしまう。問題は振り回された金魚鉢から中身がすべて飛び出してしまったことだった。ミスブランチもきりもみ状態で勢いよく壁に激突、ベッドの上に落ちて力なくもがいている。焦点のない目は変わらなくてもやっぱり苦しいんだね、そんなことを思いながらわたしは佐伯さんに犯される。いっさいがっさいの抵抗むなしく暴力的に、顔面がぱんぱんに腫れ上がるまで殴られてこの上なく幸福に犯される。彼の手に噛みつく。歯が折れる。わたしは台無しにされている!

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