おかえりなさい。わたしは彼の内腿へキックを放つ/鈴木妙
 
ップで金魚を買ってきた。きのう出した血と毎月出す血のあいだくらいの色がいいな、と覗いてみたらいたのだ。
はじめまして。ミスブランチといいます。

 煌々と月の照る夜、ある埠頭で、アタッシュケースに寄りかかって男が煙草へと火を付ける。そして軽トラックに吹っ飛ばされる。軽トラは軽トラでそのまま倉庫の壁に激突して爆発、炎上する。ニトログリセリンを積んでいたのだ。
 深沢がウェブサイトに連載していたマンガのラストシーンだった。
「面白かったよ」
 と佐伯さんはディスプレイを向いたまま言う。彼の背後で深沢はベッドの縁に足を組んで座り、感に堪えないといった様子で何度もうなずき、空っぽになったビール
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