おかえりなさい。わたしは彼の内腿へキックを放つ/鈴木妙
った。これはもうしょうがないと思い、わたしは机の上に開きっぱなしにしておいた彼のノート、市立星ヶ丘高校のスケッチへと傷口を押しつけた。刺激がきゅっと強くなり、しかし思ったとおりこころよい安心感が胸へと流れ込んできた。
こんなことを続けてどうするの?
さあ……。
すべてのページを覆い尽くしたら、彼が現われるとか?
笑っちゃうよね。
指をのたくらせながらピザを注文し、食べていたら出血も止まったその頃にはもうわたしは彼に抱かれるときみたく恍惚としていた。それはきちんとやってきたのだ、思ったとおりに。
はははははははは。
なにか飼おう、とつぶやく。
極楽駅前のペットショップ
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