血まみれの夜/岡部淳太郎
りの部屋に
置いておいたらどうなるかということを考えた
何者が夜をここまで傷つけたのか
何が夜に血を流させたのか
そんなことも気にはなったが
私は目の前にある夜と
私の心の中にある暗いものが
不吉にも重なり合うことを思った
部屋の外の世界は暗かった
この夜と同じく暗かったが
それはもはや 夜そのものではなく
夜の抜け殻でしかなかった
ただ暗さだけが同じでまったく異なる
たがが外れた人々の
開けっぴろげの意志と
欲望の巷となっていた
もしかしたらこの夜は
外に広がるあの空間から
剥がれ落ちてきたものであったのだろうか
夜としての本質をその身に宿して剥がれ
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