詩亡遊戯/ホロウ・シカエルボク
 
付けて、明りをつけなければならないんだ、もう自分の手元すら見えやしない、雨は降り続いている、雨は降り続いている、生命を生きるのなら名前のないものにならなければいけない、浮腫んだ顔を殴りつけて新しい流れを呼び覚まし…眩めく視界の中で少しの間、生まれてきたときのことを思い出している、本当は、そうだ、本当は、いつだって思いだせる、いつだって思いだせる、その時のことを…日常の中でよどんでいくものが、その記憶に、感触に蓋をする、生命と違うもののように肉体を錯覚させる、眩めくのだ、そうしなければ、名前のないものにはなれない、それよりもあとのことには、すべて名前がついているはずじゃないか…エンター!おれは新しい
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