「バイクと少年」/ベンジャミン
な金属音をあげて僕を振り落としたんだ。頭の中が真っ白になって、慌ててかけよったそいつはもう動こうとはしなかった。キックレバーを何度も蹴ったけど回らない、押しがけしようとしてもタイヤが回らない。エンジンが駄目になったんだ。
(お願いだから また息をしてよ・・・)
ギアを空転させて、僕は泣きながらそいつと歩いた。なんとか海まで連れて行ってやりたかったけど、それは無理だと分かっていた。
「ここがお前のお墓だよ」
林の中の小さなすきまに押し込んで、キレイなボディーを撫でながら、僕は一つ一つのパーツを触ってその感触を忘れないように刻み込んだ。
(疲れたんだろ?もう誰もおこさないからね・
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