「バイクと少年」/ベンジャミン
 
いに、そいつは自分で息を吹き返したみたいに、力強く、そしてけたたましく吠えたんだ。

(ウルフって言うんだろ?僕と走ろう!)

そいつは僕の世界をくつがえしてくれた。最高速度180kmのスピード領域は、すべてのものを歪ませて、まるでいろんな色がとけ合わさったような、僕自身までとろけて融合されたような一つの世界に連れて行ってくれた。
海岸通りの弾丸ストレート、遮るものなんて何も無い自由。ストリートエンジェルは僕のことだと叫んでいるのに、自分の声なんて聞こえやしない。「それって悔しいけど最高の気分なんだぜ!」

でも・・・ 楽しい日々は長くは続かなかった。
ある日突然、そいつは奇妙な金
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