棲魚/アラガイs
 
だった
近よって覗きこむのも怖いほどびっしりと緑藻が張り付いていて、水槽の中はまったく見えない
ひとつ1畳ほどもある大きな水槽が窓辺に置かれてある
まるで古代魚の棺のようだ
色の消えた淡水魚たち
魚は2日と餌をやらずにいたら死んでしまうだろう
囲いの庭には蓮池もある
ここは不思議な場所で
どうやら、あたまの記憶が飛んでしまった様子だ
」突然、(ぴしゃっぴしゃっ)と 何かが跳ねる音がした 。
巨大なモノが水を跳ねる音だ
埃や黴で重みを増した蓋を開けて
恐る恐る中を覗く
奇妙に進化したカタカナの文字が、そこには生きていた
大と小の眼がギョロリと、うごめいて、滓と排出
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