連続する増幅、扁桃腺の様な幻/ホロウ・シカエルボク
 
・ビームの光点、光を捻じ曲げるクリスタル・ボーイはここにはいない。それは秩序を保っている、秩序を保って…在ったり、無かったりする。指先で死んだ言葉たちの亡霊は、爪の内側に極細のノイズをカリカリと描き続けている、壁の向こう側に住んでいるネズミと同じリズムでさ、そう、引っ掻いて、ばかりいる…それが時々、痒くなるときがある、だけどそれはどんなものをもってしても、解消することが出来ないのだ、死んだ言葉の亡霊たちしか、そこへ入りこむことは出来やしないから。俺の指先はいつでも、死の前後にまみれているというわけだ。こんな風の強い夜には到底無理な話だけれど、時々…彼らが爪の内側を掻く音が聞こえることがある、内にも
[次のページ]
戻る   Point(4)