マトリョーシカ/ただのみきや
 
に入らない 何度綴って読んでみても
必死にこらえていた介錯人が ついには吹きだす始末
そり上げた額を赤くしながら 君は生きている
切腹の準備万端整えて イライラと生きながらえている

これではさすがに気が引ける
パカッと開いてもっと中身を覗いてみよう

辺り一面漬物樽だらけの古い町並みに漬物臭い風が吹いている
見ると女ばかり少女から老婆まで漬物作業に明け暮れている
突如君は樽から漬物石を取り上げて叫びだす
 「世界はこの中にある! 」
君の叫びに女たちの心はさざなみ立ち
ついに暴動を引き起こす
狂乱状態に陥った女たちは手に手に沢庵や糠漬けをふりかざし
襲いかかってくる
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