夜間遊泳/風呂奴
屋根の上に寝そべって
星空宛に 音楽を流していた
8月の夜だ
外灯で催される カブトムシの集会
縁側の鼻歌は 風鈴のしわざで
首筋にぶつかる風の粒子は
いつまでも柔らかい気がした
散りばめられた夜空の宝石
まるで図工室の床一面にこぼした 多彩なスパンコールの要領で
なんとなくずっと見ていたかった
拾いたくない美しさや 届かない美しさ
8月の屋根の上 夜風と星の合間では
思い出が行ったり来たりする
涙が屋根を伝わぬように
炸裂する光の沈黙へ
目を釘付けにしてみた
もう音楽は聞こえないのに
左胸は震えていた
道路を挟んだ 向かいの林からは
虫たちの賑や
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