遅れる時計/ただのみきや
かに乾いた感触で砕け散り
それは風葬と呼ぶのにふさわしかった
荒れた生垣の隙間から見える
庭は茂りすぎた樹木の根元だけが円く融け
猟奇的に横たわる残雪の白さは
ほの暗く 泥濘を育んでいた
住む者の絶えた 忘れ去られた古い家は
時という主人に首輪を引かれてもなお
自分のにおいが滲みついた場所から動こうとはしない
老犬のように不恰好で悲しげだ
だが やがて重機が響きを立てて
子どもが去年の工作を捨てるくらい簡単に
歴史とか思い出とかをぺしゃんこにしては
廃棄物としてダンプで運び去る時が来るのだ
そのうちに新しい家が建ち
日当たりの良い庭は小奇麗にガーデニン
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