遅れる時計/
ただのみきや
突風が春の入城を告げ知らせ
冬の残党は最果ての地へと追われて行く
変わることなく季節の車輪は廻る
時のレールを 一方向に
樹木もまだ裸のころ
花よりも先に咲く少女たちは明るい色の服を纏い
二人の会話には大きすぎる楽しげな声で
飽きもせずに囀っている
五年後なんて遠い未来のはなし
この景色の向こう
まだ見たこともない世界にまで
今は続いている
角地の古い邸宅から
歩道に躍り出た去年の枯葉
踏めば微かに
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