赤い土のブルース/いねむり猫
 
思い出したように声を挙げる 底の浅い欲望に
 気まぐれに応えるだけの 鈍重な生
 
やせ細った迷い猫に しかたなく餌をやるように
自分の乾きに ときどき目を向けては 忘れる

風に舞う 抜け殻の思い

風にさらわれた砂が 錆びたトタンの屋根を 走り去る
カリカリと 軽快なリズムで 
乾いた命を 引っ掻いては 削り取る

底の抜けそうな籐椅子に座って ただ 座って
赤く煙った土地のはるか向こう 立ち上がる遠雷に 尋ねている

命をつなぐこともない だから 生き延びることを 求めない
ただ 荒れ果てた毎日が 繰り返され
つらい夜の眠りさえ 体が上げる悲鳴で 何度もか
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