赤い土のブルース/いねむり猫
 
もかき乱される

それでも 思い出せない悪夢に 跳ね上がる鼓動は 鼓膜を強く鳴らしている

そして 疲れ果てた朝 
破れたカーテンから 顔を焦がす日の光に 追い立てられながら
ぎっしりと 砂の詰まった視界の向こうで 新たな一日が すでに始まっていて
閉め忘れた蛇口から 時おり落ちる水の音が 朝を刻み 
自分がまた 生にも 死にも 乗り遅れてしまったことを ゆっくり思い出す
  
生ぬるい水を飲み
さびついたのどを湿らせて
古いブルースを歌ってみる

強すぎる日の光に 背中を焼かれながら
先週 友を葬ったことを 思い出している


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