プシュウ/佐々宝砂
て言いました
でもきみは
もう他人の妖精に変身しちゃったよ
さらうわけにはいかないさ
ああ
あなたは覚えているのだと
わたしは思ったのでした
ただそれだけを言いたかったので
それでおたよりしたのかもしれません
かなしくなどないのかもしれません
この手紙は破り捨てましょう
そしてわたしは口を尖らせ
あのひとにプシュウと言う
あのひとにはわからない
わからない
あのひとはすっかり忘れてしまって
けれど
あのひとはやさしい
そしてたぶんわたしは
しあわせなのです
だからこれでおしまいにします
さようなら。
3.パン
なまぬ
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(3)