奈良にいる頃/天野茂典
た イメージと少しちがうような気がした
(彼女が遠く奈良にいる頃 ひとりぼっちのぼくにはあこがれの人のよ
うに
思われた
ぼくも彼女も童貞と処女のように振舞っていた
ぼくたちは喫茶店に入り連詩のような遊びをやった
(その最中二人から出るあの焦げ臭いチーズのようなにおいはなんだ
ったんだろう
まるでSEXでもしているような匂いだった ふたりだけの秘め事の
ようで
ウエイトレスがやってくるとなんだか秘密がばれそうでぼくたちはも
じもじした
ぼくの頭の中には彼女とSEXするなんて考えはまるでなかっ
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