友よ/いねむり猫
 
ぎるのがマナーだった

 美しい馬たちの走る姿に 心を寄せて
 かれらが競う数十秒の劇場に
 真実を見ていた


この秋のあまりの美しさに
自分の時を止めてしまった友よ

その閉じてしまった 美しい時間の中で
おまえはずっと一人で 秋の美しさに浸るというのか

 でも 大切な人を守ることは
 もはや できない

 高校時代からの奇妙な友人たちが
 大人になったというのに しでかす 
 とんでもなくおろかな出来事に
 手を打って喜ぶことは もうできない

 ライトアップされた馬場を疾走する
 馬たちの躍動を 胸に吸い込むことは
 馬たちの興奮に濡れた瞳に
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