憂鬱録より “火”/kaz.
たのだ――人目に曝され、芸術作品と化す。私
は物陰に身を潜めた。思えば、ここから侵入し、中で着替えていた女の子を襲撃したのが、
そもそもの発端なのだ。
女の子が二人、部屋に入ってくる。二人はその惨事に唖然とする、吊された女、吐瀉物、
消火器、傷痕、血、それらを目の当たりにして。直ちに物陰から飛び出して女の子たちを
いっぺんに縛り上げる。悲鳴。私には聞こえない。口を覆う掌にはその息だけが吹き掛か
る。“この二人には媚薬だ。”二人は背中合わせに縛られているのだが、そのうちの一人
を抱き寄せ、ワセリンを丁寧に塗って、愛撫し始める。メンソールを添加したワセリンは、
女の汗と混じり合い、
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