憂鬱録より “火”/kaz.
こえた。狂気と錯乱が私を私から引き離していた。もはや、
つぶやきは私のものではない。私のつぶやきを後から繰り返し、何か耐えようのない痛み
に耐える仕草をする女のものだ。私は隅にあった消火器を持ち出して、力いっぱい殴り付
けた。鳩尾への衝撃、嘔吐、それらはすべて、予定されていた。私が殴る度、女は吐き出
す。反吐を生む機械。規律を遵守し、精神を喪失した機械としての肉体。外見上の美しさ
は衝撃の対価として失われていく。私は吊した縄は、部屋のフックに引っ掛かり、たった
一枚の戸で外界と隔てられているが、そこに決定的な形で破壊要素を導入すれば――戸を
叩く音が聴こえる、女の子たちが帰ってきたの
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