未来に乗って/灘 修二
、未来の鉄の肌を走る。走れ。走れ。機関車よ。未来がわたしを連れていくままに。
緑の国を走る。鬱蒼と茂る森林の中を駆け巡る。窓から入る木漏れ日が、光の未来をはやし立てる。エンジンは、森林の空気を吸って、牧場の薪を燃やして、全開。芳しい煙を古郷に返しにやってきた。
客はどこに着くか知っているが、それはまだ誰も見たことがない国。ガタゴト、ガタゴト揺れて未来は揺りかごになる。疾走する機関車は汽笛の音を置き去りにしていく。歓喜にむせびながら、もくもく霧を吐いて走る。霧は乾いた心を湿らし、揺れは止まった時計を動かす。わたしの心臓も打ち始めた。昨日まで国境の砦で銃を構えてひとりきり。今日は夢見る未来
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