未来に乗って/灘 修二
未来とふたりきり。
風の国を駆け抜ける。未来は風に吹かれて乱れ髪。風の法王が降りてきて未来に手紙を届ける。100年の昔、わたしは剣であなたから命を奪いました。今それを返します。差出人のない手紙を読んで、未来の頬が赤らんだ。
夢の国に入った。長いトンネルに入った。わたしと未来は深い眠りに入った。息と息を重ねて、猫の眠りを眠った。亡霊の未来が帰ってきた夢を見たとき、わたしは小躍りして目が覚めた。
どのくらい時間がたったのかわからない。長いトンネルを抜けると霧の国だった。終着駅に着いた。別れを告げると、未来は夜霧の中に消えて行った。胸のポケットに手を当てると、大きな忘れ物に気がついた。わたしを忘れた国にわたしを忘れてきた。夏の終わりに。
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