すばる/木屋 亞万
れならばまず電気をつけようと起き上がったら、彼は慌てて「このままでようございます」と言った。僕は慌ててもとの姿勢に戻り、ゆっくりと頭を枕に戻した。
「暗闇であなたに下手に動かれると小生が踏み潰されてしまうやもしれません」「あなたが思うよりもあなたは巨大な生き物で、小生はあなたがうっかり踏み潰してしまえるほどに小さな生き物なのでございます」
僕はそれで妙に緊張してしまって、肩や首にぐっと力が入ってしまった。それまでだってあまり動いていなかったのに、急に動かないでいることが窮屈に感じ始めたのだ。
「ああ、それで話は変わりますが、あなた。いま恋はしておられますか?小生は恋のナナホシテントウと呼ば
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