蟻殺しのアリエッティー/和田カマリ
じゃ、良いんだね。」
と僕が言うと、彼女は
「キシャーッ。」
と答えました。
これで中世より継続する、我が家の本流を絶やさずにすむのです。駅伝競技において、後続の者にタスキを渡し終えたような、ホッとした晴れやかな気分でした。僕は妖精さんを昆虫ケースに入れると両手で抱え揚げ、両親への報告の為に母屋に向かいました。
「お父さん、お母さん、僕のお嫁さんです。」
僕はケースを差出して、妖精さんを父母に引き合わせました。
「ついに、この時が来たんだね、母さん。」
年老いた父母共々、うれしさのあまりなのか、泣き出してしまいました。
妖精さんはと言えば
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