見ている/長押 新
も平気。痛いけれど、飲み込まれるわたしも痛いから。ね。平気。
私の中に有るのに私では無くて、私が憎むべき物。私が認識する前からずっと存在して、悲鳴が耳を満たす。それが意識の始まり。悲鳴は、私から表れ、やっぱり私だって言うのに記憶の領域が確認できるのは、これだけ。
賛美する。掌から炎が出て虫の羽のような顔がポッと照らす。焼き尽くす炎ではなくて。燃えている太陽を思う心がそうするみたいに優しく。
お母さん、お母さんは花が嫌いでした。虫が寄ってくるからと言って、花柄の服ですら着ることはありませんでしたね。
熱にうなされると筋肉の間に入り込む夢を見る。筋肉の線を指先で千切って
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