水底/伊月りさ
のこどもになりたい、
ぬるい血のなかでまるくなって
ずっと
生まれずに死にたい、
なんて
そんな風にカミサマをあざむけるのなら
感情などとっくに淘汰されているでしょう
このおさない手は いつ
みずからの髪の結い方を知るのだろうか
はじまりしかない と
ゆるい因果をむすんだ瞬間だろうか
さわられたいから、さわるの、
どうしてですか
きみはうまくみなもをはねそうだねぇ、なんて
砕かれるために集まったはずなのに
水底で
くすぶっているのが見えるほど
わたしたちは澄んで
骨でつむがれる渦をみている
それは黄色い骨、
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