石榴/yuko
 
中の曲線に沿って、走る電流。
リビングに散乱する硝子の欠片を、ひとつひ
とつ摘まんで、子宮の壁に埋め込んでいく。
星が降ってくるみたいな、真夜中。最果てか
ら打ち寄せる暗やみの音が、首筋まで浸して
いく。

 「ねえ、」妊娠したんですと、言わなけれ
ば良かった?衛星にはこうふくが淀んでいて、
だからあんなふうに霞がかって見えるんだ。
手を繋いで歩いた、ぬかるんだ道の片隅で、
頭上から降ってくるあなたの声は、まるでひ
かりみたいで逃げられない。唇を固く結んで、
黙って小さく頭を振ったわたしは、「ひとり
きりで守ればよかった!」「だれを?」まる
で嘘みたいな!「わたしを?
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