靴下/はるな
うにわたしを撫でるわたしの親指のすきまで わたしは赤子のように必死に血を吸い上げ 巡らせ 緑を茂らす。
「物事を見るにはそれ用の訓練が必要なのです」
幼馴染はあらゆる仕事を転々とした結果いまは穴開け屋に落ち着いたそうだ。安定した収入を得て顔つやも良くなってきた。かれは最初医者になりたかったのだ そのころは命がもてはやされ今みたいに醜ければ裁かれるとか、長生きしすぎると殺されるとかもなかったし それにいまとちがって医者は人を効率よく死なせるためではなく生かす職業だったから。実際かれは医者にもなっていくつもの命を救ったしそれは立派なことだった。「まあとにかくいろいろあってあとは想像できるだ
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