靴下/はるな
るだろ、穴ふさぎ屋になったんだよ医者のつぎにはな」「ははあ」でもなあ穴がないと穴ふさぎ屋は用がないんだよこれはまったく医者とおなじだな。病人がいなければ医者は必要ないという。それでまあ当然のようにおれは穴を開けたんだよ。他愛もない穴だよ。もしかしたら誰にもその穴は見つけられないしそれならそれでいいと思った。もし見つかったなら修理もしようと思ったしその費用も微々たるもんだ。とにかくそういう小さな穴を開けたんだよ。まったくもって危険のない、ううんつまり鼻風邪みたいな穴だよ。それでやっぱりその穴の修理依頼はこなかったんだ。うん。そんなもんだよなあと思ったね。穴ふさぎ屋も畳もうと思ったよ。実際食えなかった
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