生きる(ということ)/ブルーベリー
 
みながら横目で見ている
所在の無いわたしになる

あれも3月だった

おまえがしねばよかったのに

そんな電話が
彼にかかっていたというのを
わたしが知ったのは3月だったのだ
とうじにつけた柚子の皮を前歯でこそげ取りながら
主婦の話をへえと何の気なしで聞き流すふりをしながら
保健室の天井をおもいだして

わたしがしねばよかった

そう思った


今はもう思わない

水中の光と
3月の雪と
罵倒された(俺/彼)をおもうけれど

日常の泥濘に捕らえられ
皮膚と脂肪を分厚くした

俺にもわたしにも刃が届く事はないのだ

自分はただ作業服のまま
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