ジンクスが死んだ朝/ただのみきや
 
も見るように

おれはおまえに魅かれていたが
おまえは寄りつきもしなかった
一瞬こわばった姿勢で見つめ返す闇よりも濃いからだ
おれはただ見つめていた
若い娼婦に見とれるかのように

ああ やっとカラスが降りてきた
雪のそぼ降る中 黒い猫と黒いカラスは
白紙の上のインクの滴りのように
おれというペンを中断させていた
太陽は早々にブラインドを下し店仕舞いだ

カラスは小首を傾げ一瞬 おれに問うた
やつもおまえを知っていたし
同じように感じたのは無理はないことだ
死んだのは 本当は自分ではないかと
バス停から見る二人はまるで双子なのだから

黒猫と黒いカラスと黒い
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