春はその子供たちを見つめ続けている/ただのみきや
わり
色とりどりの風車を回しては過ぎ去る
一陣の風にすぎないことを
遠い祖母の子守歌のように
くり返しくり返し招くのだろう
すっかり道も乾き
春に萌えた草花が老いを憂い
白い雲が無言で見おろす頃になると
あなたはもう迷うことなく
新しい服を着て
新しい思想と愛を交わし
焼けたアスファルトの上
踵の高い靴と割れた蹄のダンスに陶酔し
灼熱の巡礼街道をゆらゆら揺られながら
純粋で穢れなき白骨となって
輝きを放つことだろう
春は
時の流れを見つめ続けている 今も
春は消え去ることはなくただ色を変え
大理石の彫刻のように
娘の姿をとって現われた古の賢人のように
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)