春はその子供たちを見つめ続けている/ただのみきや
 
うに
まっすぐに見つめ続け
透明のまま在り続けることだろう

二月の冷気は無言の遠吠え
鋭利に澄みわたる夜に余韻する

どこからか声が聞こえてくる
春がぼくの心に手を差し込む
あたたかくて痛い
春があなたの寝顔を記憶の中のうららかな陽射しで照らし
闇より濃い影が別人として刺青をする
あと数時間で夜が明ける
放射冷却がぼくたちの朝を抱いて
跡形もなくなった夢の欠片をダイヤモンドダストに変える
そして輪郭を失った春は
あなたの瞳の中からぼくを見つめていることだろう


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