君/salco
 

誰にも解決できないからだ

朝方の眠りに覚える寒気は身を起こし
もう一重の毛布を要するものでもない
体温よりも一度だけ低い孤独を人は飼っている
それは檻の中から決して逃げようとせず
とても澄んだ声で君の為だけにさえずるし
その旋律に耳を傾けるのも悪くない
けれど時々やりきれない
暗闇に取り残されて
年だけ取った赤ん坊が老人の顔で泣き喚いている
時々そんな風に感じられる
それは早く死にたいと言っている風でもあるし
まだ死にたくないと訴えている風でもある

ところで君は何に固執して生きているのか
まさかこの先何か
望ましい事が起こるとでも?
レールの継ぎ目の震動
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