君/salco
 
り奉仕に対する感謝感激と待遇改善の督促だ
ああ、
年ごとに愛が冷めて行くのは時間のせいで
この不幸な女のせいじゃない
どうして毎日がこんなに輝きの失せたものであるのかも
君の視力過剰のせいじゃない
虫めがねで物を見るには若過ぎて
望遠鏡で世界を見るには年を食った

思いに沈む君の足元では
玩具の車を走らせながら
幼い息子がミロの唄を呟いている
この子にまだ在る背中の羽根と神々の世界に
君はすっかり磨り減った永久歯で
絶望に似た嫉妬を噛み殺す
口の周りに牛乳髭を生やし
ソースやパンくずを散らかしながら
親父に向かって回らぬ舌でピーチクさえずる小人族の
手札の数に君
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