反転した世界ーーー夢/yamadahifumi
 
た。「私達こそ否定的存在である。この世界は否定的存在である。だから、我々の進歩とは後退であると。我々は進歩すればするほど、そう考えれば考えるほど良いものから遠ざかり、悪くなってゆくと」・・・改善論はない。さっき言ったようにね。・・・だがそうした答えというものはーーーそう、沈黙となって表現されるだろう。それはそう発語する事自体がその言葉と矛盾しているのだ。だから君達の言葉で言うところの「誠実な」人間なら、沈黙していた事だろう。・・・そのへーゲルという人間も自分が見つけた(と仮定した)真実を無邪気に信じ込んでいたのだよ。人間というのは無邪気な、そして大部分は愚かしいものだからね・・・。何か質問はあるか
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