反転した世界ーーー夢/yamadahifumi
 
ていこうが、そこから外にはいずりでようが、もう結果は同じなのだ。これでわかったかね?」
 「なんとなく」
 「・・・よろしい。それでは最後にこんな話を付け加えよう。君はへーゲルという学者を知っているかね?」
 「いいえ。はじめて聞きました」
 「まあ、良いだろう。彼はね、この世界をこんな風に考えた。この世界は否定性によって成り立っていると。人間というものは今あるものを否定することによって上昇し、進歩すると。・・・だが彼は間違えたのだよ。彼にはよりもっと大きな世界は見えなかった。・・・だから彼はやはり第三番目の賢者ということになる。一番目でもなければ、二番目でもない。彼はこう言うべきだった。
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