アンダートーン/ホロウ・シカエルボク
たいに、失われる度に送り込まれる血液の温度、生身であるということの喪失と恍惚、割れた天窓の頂上にある月、硝子が中空に跳ねるその光のレスポンス、壁は…宇宙だ、生命はうろたえて喀血する、今夜存在をここに塗り込めよう、一枚の絵になれば永遠に生きられる、たった独りの部屋でさよならと言い続けた、すべては約束されていたんだ、生まれたときから肉体はスクラップだ、すべては約束されていた……ああ、天窓、天窓の穴、そこから覗く月は黒目のようだ、黄色い黒目がこの終焉を眺めている、たった独りの部屋でさよならと言い続けた、光は降り注ぎ、跳躍し、彩り、空気は冷え、纏いつき、かさぶたは痒く、なお血は流れ続け、凝固し、枯葉を踏む
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