アンダートーン/ホロウ・シカエルボク
ぬほど好きに生きてしまった
汚れた世界の中で歌を口ずさんだ
そうすれば少なくとも
なにがしかは殺せるだろうと思って
なにがしかは殺せるんじゃないかと思って
そして月の明かりが
いつしか天井の穴から射し込む
雨は上がったのだ、雨は
もうとうに上がってしまったのだ
そして月の明かりが
天井の穴から差し込む
傷口はかさぶたになり
紛れ込んだ蛍の安息の地になる
たった独りの部屋でさよならと言い続けた
俯いて痛みに耐え
やがて眠りこむ
夢の在り方はいまこの時よりも途方もなく
命は曖昧な蜃気楼のようなものになった
あれは消えるかもしれない
あれは消えるかも
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)