アンダートーン/ホロウ・シカエルボク
込んだ夕暮れの大きさ
いまだ胸の中で時折脈を打つあの色
あの時羽のようだった靴底は
どんな摩耗の果てに消え失せてしまった
今はない草原に風が吹きわたる
口笛の吹き方を忘れたころに
過去は壊れて飛散する天窓の硝子だ
片端から降り注いで裂傷と流血を呼び覚ます
たった独りの部屋でさよならと言い続けた
痛みと血液にどっぷりと濡れて
アンソロジー、この肉体を
喰らい尽くす病魔のようだ
割れた天窓の名残から雨粒が降りこんで
纏いつく温もりをくだらない希望みたいに流す
詰まった排水管から逆流してくる
様々な汚物のようなエトセトラ
呼吸を堪えたりするには
至らぬほ
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