Your sentence/Debby
 
らない。ただ、巨大な大陸の小さな路地を無数のスーパーカブが駆け抜けていく音だけが響いていた。それは、ずっと遠くから聞こえてくる音なので、まるで蜂の羽音のようだ。次に来る波はでかい、いつもそうだ。これまでもこれからも、いつまでもどこまでも。


十五センチ定規と

水槽に水苔がずいぶんついてしまった。真緑色になった緑色の立方体を眺めているのにも飽きた君は、ガラスの面を十五センチ定規でこすりとる。緑色のちぎれた苔が水中に舞う。めだかやたなご、それに小さなえびたちが千切れ舞う苔を齧る。この作業をしているとき、君はいつも何かを思い出しそうになる。それは、22度の水温のせいか、それともかるき抜きの
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