夢の中の硝煙の臭いが、ときどき鼻をつくことがある/ホロウ・シカエルボク
 
べて忘れて
紙かなにかで出来た人形の真似をしていればいいのさ
明日も温度は下がったままらしいから
少なくとも雨が降ることだけはないよ
世界がきみを見放したと感じるときには
見放された気分を泳がせとけばいいのさ
そいつが、魚みたいに天井を泳ぐのを、ずっと
空が明るくなるまで見つめていればいい
世界がきみを見放したと感じるときは
世界がきみを見放したと感じるときには




きみは夢の中で
ずっしりと重いリボルバーに弾丸を込める
こめかみに当てて
バーンと、引鉄をひく
飛び散るきみの脳漿、洒落たフランス料理の皿の余白に垂らすソースのように
安っぽい白いクロスの壁に
[次のページ]
戻る   Point(3)