感性は理性の食卓に満足できない/ただのみきや
レアーでなくては気がすまない
切っても血がでないようなものは欲しくない
レンジの中から声が聞こえる
クスクス笑う女の声だ
それだけでもう十分だ
今すぐ盛り付けてほしいのに
おまえはレンジの鼓動が止まるまで
頑なに鍵をかけ続ける
おれは神経に秒針を刺されながら
レンジが踊り続けるのを見守るしかなかった
やがて 完了 を告げてレンジはこと切れた
おまえは中から白い皿の上でぶすぶすと燻っている
ページが張り付いたまま焼け焦げた本を取り出し
首にナフキンを巻くとナイフとフォークで食べ始めた
それは毒にも薬にもならない
内側まで完全に焼かれてしまって反発することもない燃
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