感性は理性の食卓に満足できない/ただのみきや
 

衣服や靴に包まれたままの殺意の化石
瓶詰めにされた時代物の孤高の概念
大衆紙の文字で切り貼りされた
欲望と官能の展開図
粉砕された詩を朗読する暗がりの女の声
涙と皮肉とナツメグとクローブが少々

気に入らないのはそいつをレンジに入れたことだ
メモリのつまみを十数年分は回している

おまえはおれを笑いっぱなしの嘘つきだと言うけれど
おれに言わせればおまえは机上の空論ばかり
陰気なパラドクスのお面でもてなそうとする
たちの悪い壊れ方をした目覚まし時計だ

マイクロ波は内側をカチカチに焼き上げてしまう
外側はぬるい顔をしたままなのに
おれはそんなのは嫌だ
おれはレア
[次のページ]
戻る   Point(7)