萩尾望都私論その1 まえあがき/佐々宝砂
萩尾望都はあっさり逃げ道を用意して、女性になりかけてる少年形のタクトと、モリという男のラブストーリーにして綺麗にまとめた。モリはタクトに滅茶苦茶惚れてて、その感情が続いてる限りは、この関係はうまくいくだろう。タクトがどういう状態にあっても、モリはタクトが好きなのだ。モリの気持は私によくわかる。私もタクトが好きだ。タクトが男だろうと、女だろうと。
フロルの場合は、変化する側が、変化しない側の都合にあわせた。
タクトの場合は、変化しない側が、変化する側の都合にあわせた。
萩尾望都はスタージョンの半歩先を歩いている、でもあくまで半歩だ。変化し続ける、かつ個人としても自律した者同士で、スタ
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