挽詩/葉leaf
――D.K.へ
訃報を受けた次の日、近場にある温泉宿へと自転車で行った帰り道、途中にある長い坂を登りながら、私に不意に訪れるものがあった。あなたの位牌の前で深々と頭を下げて、冴えた糸のような強いつながりを感じた時、不意に訪れるものがあった。あなたの死から一年近く経って、病にふせっているときの感傷のなかで、あなたに向けた文章を書きながら、不意に訪れるものがあった。
それは、水のひらめき――炎の小回転――希望の炎症――身の湿った開花――陽気な吃音――爪痕の流動――歴史のこまやかな受肉――宇宙から滴った星のねじれ――光速の血液――荒れ狂う金属、
それは、流れない涙
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)