最近読んだ本いろいろ/ふるる
 
くことは野蛮だ」「アウシュヴィッツ後のすべての文化は、それに対する痛烈な批判を含めて、すべてゴミ屑である」と言いましたが、ツェランはひどい体験からも、ドイツ語からも逃げないで、生涯をかけてそれに答えていきました。

ツェランの詩はただでさえ重いんですが、その中の「薔薇」がカフカの小説を下敷きにしていて、実は「傷口」のことなんだという解釈は、読むのがさらにつらくなっちゃいますね。
でも、気になる作家や哲学者には手紙を送ったり会いに行ったりして、意外に社交家だったんだとわかりました。

ツェランの蔵書から引用の典拠を探り当てる作業は膨大で、著者は15年を費やしたそうです。その根気と根性
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