s字台ニュータウン/アラガイs
 
ように通り過ぎると、むき出したコンクリートの裂け目から裏口へ飛び出した 。

湿り気を保つアスファルトにタイヤの砂跡が痛い
舗装されたばかりの道路にも足跡は残らない
ジャリジャリと、音は視覚だけに共鳴している
ここは高台の乾いた風
歩けば不審者の気配がするだけだ
空を見上げると、カラオケボックスの看板はすでに剥げ落ちていた
このブロックを右側に折れると姉夫婦たちの小さな家があった気がする
あの陽気な夫婦にはさっき会ったばかりなのに…もう忘れていたのか…
冗談で話すには頃合いというものがあるのだ
互いを笑いあえば別れの挨拶に代わり
すでにつきあたりから斜め左手に下ってい
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