あなたという詩集を読む/ただのみきや
 

羽ばたく蝶の鱗粉は
流星群となり降り注ぐ
街へ 田園へ 野原へ
子どもたちが我先にと欠片を捜し駆けて行く
ぼくも負けてはいられない
あのころの自転車に飛び乗った

あなたは あなたの詩の中に立つ
砲弾が飛び交う戦場で
薄絹をまとったまま
あなたが愛を語るとき
ぼくは耐えられない
あなたの言葉の体温は
ぼくの心よりも高いから
熱力学で引き寄せられてしまう
あなたの言葉は震えていて
ぼくの心は共鳴してしまうから
天に突き刺さった音叉が響き渡って
響き渡って ああ だめだ強すぎる

天蓋が破れ海が降り注ぐ
それは人類が流した涙の総量
100キロメートルの鯨が
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