さよなら人類 も けだものも それら以外も/竜門勇気
 

雨合羽の表面 も
それ以外 も
冷たくてふわりとした雪が
覆い隠してしまう中で
ぼくは道路に立ってる

歌を歌いたくて
部屋を出てしまった
誰ともつながってない時間は
少しづつ長くなっている
返事の書き方がわからなくて
積み上げてしまった年賀状の束
ほんの十数枚位の葉書に向き合えない
子供が、生まれたのかあ 住所が変わってる、新居かなあ
ぼくは元気だよ
いつぐらいからか、みんなは大人になっていた
ぼくの変わったことなんてキャメルが買えなくなったから
ゴールデンバットを吸うようになったぐらいだ
こうやって太陽の浅い時間にコンビニまで歩くようになったぐらいだ

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